牡蠣：海のミルクと自称する、ちょっとふっくらした隠遁者たちの生態

牡蠣とは

牡蠣とは、二枚貝綱イタボガキ目（場合によってはフネガイ目）に属する軟体動物の総称である。一般的には美味しく食べられる存在として知られているが、その生態は、時に人間の期待を裏切るほど奥深い。

海のミルク

牡蠣は「海のミルク」と呼ばれるほど栄養豊富…らしい。実際、亜鉛とか鉄分とか、体に良いとされる成分がたっぷり含まれている。しかし、現実問題として「積極的に牡蠣を毎日食べよう！」と思い立つ人は、よほどの牡蠣好きか、栄養オタクくらいだろう。我々一般庶民は、せいぜいカキフライ定食を年に数回楽しむ程度が関の山だ。それでも十分、その恩恵にあずかっている…はず。

複雑な生態系

牡蠣は成長する過程で性転換したり、岩にへばりついて一生を終えたりと、なかなかドラマチックな生態を持っている。しかし、食卓に並ぶ牡蠣を見て「なんて複雑な人生を送ってきたんだ…」と感傷に浸る人は少ないだろう。むしろ「レモン絞って、いただきます！」と、あっという間に胃袋に収めてしまうのが現実だ。なんともドライな関係である。

当たりの恐怖

牡蠣のシーズンになると必ずと言っていいほど話題になるのが「食あたり」だ。ノロウィルスとか貝毒とか、聞くだけでゾッとする。美味しいものにはリスクがつきもの、というけれど、美味しい牡蠣を前にして、そのリスクを完全に忘れてしまうのが、人間の性というものだろうか。そして、後になって激しい腹痛に襲われる、と。まさに「美味いものには毒がある」を体現する存在だ。

美食の誘惑

それでも人は牡蠣を食べるのをやめない。生牡蠣の濃厚な味わい、カキフライのサクサク感、牡蠣鍋の温かさ…。これらの誘惑に抗える人は、きっと悟りを開いた聖人君子か、あるいは牡蠣アレルギーを持っている不幸な人だけだろう。我々は、多少のリスクを冒してでも、その美食を追求してしまう愚かな生き物なのだ。

牡蠣クライシス

牡蠣を愛し、牡蠣に苦しめられる日々よ、永遠に。